インカローズとはどんな石なのか？このページでは、インカローズの成り立ちや選び方、意味や効果などについてお話しします。
インカローズとは？
インカローズは、正しくは「ロードクロサイト」という鉱物です。ロードクロサイトは、木イチゴの赤、ピンクが美しい炭酸塩鉱物。この色はマンガンに由来するもので、銅や銀、鉛の鉱床に脈状で産出します。
インカローズの発見
この石の発見は比較的新しく、第二次世界大戦の始まる直前（1940年頃）のことです。アルゼンチンのサンルイスの山中で、鉱山技師がマンガン鉱を探していたところ、美しいピンク色の石に出会いました。
この場所は、13世紀頃にインカ人が金を採掘していたとされる鉱山の跡でした。鉱石の上を厚く覆う縞状の石や、壁から氷柱状に垂れ下がる石があり、暗い鉱山の中に咲いた花畑のようだったと伝えられています。
名前の由来
バラ色の様子から、ギリシャ語で「薔薇」を意味する“rhodon”と「色」を意味する“chroma”から、「ロードクロサイト（バラ色の石）」と呼ばれるようになりました。
また、アルゼンチンのアンデス山中では特に良質な原石が産出されることから「インカローズ（インカの薔薇）」とも呼ばれています。
取り扱いについて
インカローズ（ロードクロサイト）は、硬度が低いことから傷つきやすく、また、劈開が強いので割れやすいという性質がありますので、注意が必要です。ビーズ等宝飾品として身につけるものは、含浸処理によって強度を高めています。
紫外線に弱いため、長時間日光に晒すのもよくありません。また、水や酸にも弱く、水分で褐色になるものもあり、酸化すると黒ずんでしましますので、これも注意です。
お手入れは、やわらかい布などでやさしく拭き取ってあげてください。
インカローズ（ロードクロサイト）の石言葉・効果・意味など
インカローズ（ロードクロサイト）の石言葉は、情熱的な恋、炎上する愛、心の癒し
「愛を叶える石」として親しまれている「ローズクォーツ」と同じように、この石も愛を成就させる力があるとして、古くから女性たちの間で珍重されてきました。
この石には、深い傷を修復する力があり、トラウマとも少しずつ向き合えるようにして、古傷を癒してくれると言われています。そうしてリセットされたところで、説教的に愛に向かわせてくれる。
なかなか恋ができなかった人には運命の相手と巡り会わせてくれる石とのことです。
過去の恋愛で深く傷ついている場合は、ローズクォーツではやや力不足。インカローズは恋愛運最強の石とも言えるかもしれません。
インカローズを身につけると・・・
これは、以前に当店に来店されたお客様に聞いた話ですけれども、「インカローズを身につけていたらモテてモテてすごかった！スゴすぎて外しました（笑）」と仰っていました。かなり陽気な方でしたので、そのオーラが強力な魅力を放っていたのかも知れませんけど（笑）
インカローズは何月の誕生石？
月の誕生石には指定されていません。7月19日と12月28日の誕生日石と書かれている文献があります。
品質と選び方
ロードクロサイトとインカローズの違い
インカローズ（ロードクロサイト）は、縞がなく鮮やかなチェリーレッドで透明度の高い結晶が高品質とされています。
一方、縞のあるタイプは、品質としては劣るということになります。
ただですね、インカローズという名前は、ロードクロサイトよりも後から生まれた名前で、正式名ではありません。
この石は、1800年にローズ色を意味するギリシャ語から「ロードクロサイト」と名付けられました。その後、縞があるピンク色のものがインカローズという名前で流通し人気を博し、ロードクロサイトよりもインカローズの名前の方が有名になってしまったというところです。
ですので、高品質なロードクロサイトはインカローズにあらず。品質が低いと言われようが、縞のあるロードクロサイトこそがインカローズであるという見方もできます。
品質の良し悪しよりも、お好みでチョイス・・・というのがもっとも望ましい解だとは思います。
ただ、縞のあるタイプでも、赤みの強いものがやはり高品質とされて、価格が高くなりますね。
色や模様の異なる３つのインカローズを並べて見比べてみましょう。。。
これで、かなりこの石に対する目利きになったと思いますよ(^^)
AAAA や 5A という表記は意味がない！
天然石の品質（グレード）をあらわす表記に「A」や「B」というものがあります。まぁ、通常「B」や「C」などと書かれた品が売られていることはありませんが、「AAA」や「AA++」「5A」といった表記は見受けられますね。
ただ、この表記は意味がありません。
というのも、これらの表記は販売者が独自につけているものだからです。お店ごとにAやAAの基準が異なるので、この文字だけでは石の品質を比較することができません。あくまで、その店の中だけのグレードです。
この表記だけを参考に、複数のお店をチェックするのは気をつけてくださいね。
処理について
インカローズ（ロードクロサイト）は硬度が低く（＝傷つきやすい）、劈開が強い（＝割れやすい）性質ですので、ビーズやカボションルースなどに加工するためには、通常は透明材の含浸処理が施されます。
インカローズ（ロードクロサイト）の偽物
ピンクで縞のあるインカローズの場合は、偽物はほぼないと思います。ただ、高品質なロードクロサイトであれば、希少で高価ですので、偽物が作られる可能性がありますね。
あまりに安価で美しいロードクロサイトに出会った場合、ガラスや水晶に着色して、そのように見せているかもしれませんので、注意が必要ですね。
また、インカローズの低品質のものは灰色や黄灰色、褐色のものがあります。これらに着色やコーティングを施す場合もあるようです。
インカローズ（ロードクロサイト）の本物の見分け方
着色となるとなかなか見分けるのは難しいですから、高価な品で気になる場合は「鑑別書」を取ってもらうのが良いでしょう。
鑑別書によって、鉱物名が「天然ロードクロサイト」と書かれた場合は「本物」と判断できます。「インカローズ」とは書かれませんね。加えて着色やコーティングの処理についても書かれますので、それを良しとするかどうかは、あなたの希望や判断によるところになります。
インカローズ（ロードクロサイト）の選び方まとめ
- 縞模様の少ないほど良いインカローズである。
- ピンクよりも濃い赤色が良いインカローズである。
- 透明度のある石が良いインカローズである。
最後に
最近、品質の良い「インカローズ」が見られなくなった・・・
いろいろな方からこのようなお話を伺います。これはインカローズに限ったことではなくて、多くの天然石でこのような状況が起こっています。
品質の良いインカローズを入手しておくと、自然に価値が上がっていくかもしれませんよ。
当店では、さまざまな品質のインカローズを多数取りそろえております。いろいろなインカローズをご覧になって目利き力をみがいていただければと思います。
インカローズの鉱物データ
| 鉱物名 | Rhodochrosite（ロードクロサイト） |
| 和名 | 菱マンガン鉱（りょうマンガンこう） |
| 別名 | Inkarose（インカローズ） |
| 分類 | 炭酸塩鉱物 |
| 化学式 | MnCO3 |
| 結晶系 | 六方晶系、三方晶系 |
| 劈開 | 強い |
| 硬度 | 3.5-4.5 |
| 光沢 | ガラス光沢 |
| 色 | ピンク色、赤色、ピンク褐色 |
| 比重 | 3.40-3.72 |
| 屈折率 | 1.597-1.817 |
| 分散 | − |
| 誕生石 | 誕生月はない。7月19日と12月28日の誕生日石 |
| 主な産地 | アルゼンチン、アメリカ（コロラド州）、南アフリカ、 メキシコ、オーストラリア、ギリシャ、ルーマニア、 ペルー、ハンガリー、ロシア、日本など |
| 石言葉 | 情熱的な恋、炎上する愛、心の癒し |
| 取り扱いの注意 | 傷つきやすく、割れやすい。紫外線、水によわい。 |
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